
みんなが大好きな野菜ランキングNo.1のトマト[1][2]。
農林水産省が定める野菜生産出荷安定法の指定野菜にも選ばれている重要な野菜の一つです。
私たちが独自に選んだトマトの大事な栄養を5つご紹介します!
リコピン
やっぱりなんと言っても、トマトらしさと言えば真っ赤なその色ですよね。
この色を出している色素が「リコピン」。リコピンは高い抗酸化作用をもつことが知られています[3]。
リコピンを 27.8mg/日摂取すると、血中 LDL-コレステロールを低下させる機能があることが報告されています[4]。
LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っており、悪玉コレステロールとも呼ばれています。
血管壁にたまったLDLコレステロールは、活性酸素によって酸化して過酸化脂質となります。
これが蓄積していくと血管が細くなり血栓ができて動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や狭心症・脳梗塞など の動脈硬化性疾患を誘発させるということが言われています[5]。
リコピンの強い抗酸化作用で、活性酸素を除去し、LDL-コレステロールが過酸化脂質になるのを防ぐとされています。
通常のトマトには、リコピンが10mg/100gほど含まれています。効果がある約300gというと、ミニトマト15個くらいでしょうか。少し摂取するのが大変ですね。
リコピンの多くは直鎖状の構造をとっていますが、一部は途中で折れた構造のリコピンもあるなど、様々な種類があります。
実はそのリコピンの構造や調理の仕方によって体内で吸収のされやすさが変わってくるという報告もあります。工夫して摂取するとよいですね。詳しくはまた別の機会にご紹介します。
β-カロテン
リコピンに負けず劣らず、大切な色素が「β-カロテン」。
リコピンと同じように、抗酸化作用があるとされています。
健康によいとされる緑黄色野菜とは、一般には、緑色や黄色・赤色などの色の濃い野菜ととらえられていますが、「原則として可食部100g当たりカロテン(カロチン)含量が600 μg以上の野菜」という基準が厚生労働省により決められています[6]。
ちなみにトマトは100gで540 µg程度含まれ、少し基準には足りませんが、食べる回数や量が多いため緑黄色野菜に分類されています。
β-カロテンは、体内では必要量に応じてビタミンAに変換されます。
長期のビタミンAの欠乏は、視覚障害や骨の形成異常、皮膚の角化(角質層が厚く硬くなること)にも影響することが知られており[7]、食事摂取基準も定められるなど、生活に必要なビタミンの一つです。
少し長くなってしまったので、続きは「後編」で〜
(参考資料)
[1] 第5回 カゴメ野菜定点調査2021 カゴメ株式会社 (2021)
[2] 「2021年度 野菜と家庭菜園に関する調査」 タキイ種苗株式会社 2021.8.19
[3] Mascioら Arch. Biochem. Biophys. 274巻 532-538頁 (1989)
[4] Nishimuraら Nutrients 11巻 1177頁 (2019)
[5] 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 「LDLコレステロール」
[6] 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 「緑黄色野菜」
[7] 調査研究「母子保健改善のための微量栄養素欠乏に関する援助研究: 第3章 ビタミンA欠乏症」JICA 国際協力総合研修所 18-21頁 (2003)